2010年7月24日土曜日

Feb, 2004.嵐の焚き火塾

常夏の島サイパン。


  とは言えやはり四季はあるようで、2月中旬はなんとなく寒く感じる。でもやっぱりサイパンで、気温はちゃんと27度。しかし日が隠れていると、半袖ではちと涼しすぎるような・・・。なんだか良くわからないような気候の中、午前中ラウラウ2本、午後はディンプル、アイスクリームとダイビングを終え、夕方クラブハウスに戻った私たちは、なんとなくそわそわしていた。今日はナーサさんと合流する日。もちろんそれも個人的には楽しみだったのだが、それだけではない。
 そう、今日は待ちに待った久々の焚き火が出来るのだ。メンバーは、ご存知カシラファミリー、サクラちゃんのママさん、シャチョー、そして先ほど合流したナーサさん。もちろん鼻水たらした私もいる。燃料となる枯葉や枯れ木は、事前にカシラが用意してくれた。食材も揃っている。心配なのはお天気。こればっかりはどうしょうもない。今日は1日中降ったり止んだりで、時折ザザーッとすごいやつが来るという状態。もちろん空はどんより沈みがち。
チクショウせっかく楽しみにしてんだ、お天気なんかに負けてられっか、というわけで、機材の片付けもそこそこに、クラブハウス奥の芝地に飛んでいくと、カシラがすでに火を熾していた。内心「やられた」と思いながらも、「なかなかいい火じゃん」とか言いながら火の傍に寄って行った。


  夕焼けも見られないような厚い雲の下、サイパンの日暮れは早く、焚き火の赤はいっそう鮮やかに映った。キャピタルヒルから焚き火越しに見える海にはいろいろな船の灯が燈り、まるで焚き火の、火の粉のようだ。
火はダッヂオーブン用に作ったコンクリートブロックのコンロとドラム缶の2箇所。ブロックの方には太い枯れ枝をくべ、太い火を作る。ドラム缶には熾きや枯葉を燃料に細くて優しい火を作る。メンバーそれぞれが、テーブルや椅子、うちわなどを持って焚き火の近くに集まってきた。とてもよいチームワークだ。





 サクラちゃんのママさんが、日本から持参のサツマイモをぬれた新聞紙にくるみ、ドラム缶の中に放り込んだ。ボボッと音をたてて鎮火しかけた火を、うちわを持ったサクラちゃんのママさんと私とで慌てて熾す。そして皆で交代に火の番をする。




 
 
どのくらい扇いでいたのか、シャチョーの「もういいんじゃない、焦げちゃうよ」の声に気づき、芋を取り出し、中を見ると・・・おお、ホックホクの焼き芋だ。ナーサさんが早速ハフハフと口に運ぶと「うーん、お~いし~い」の一言。ついでに私もハフハフと。お後はみんなでハフハフと。
  いや~、たまりませんな~。サイパンの夜空の下、焚き火で焼き芋、もう最高!
お次はダッヂオーブンの登場だ。一番底には厚めに切ったジャガイモを敷き詰め、その上に豚肉のベビーバックリブをドサドサッと置き、剥いたニンニクをたっぷりところがす。そしてバラバラバラッと岩塩を振り撒き火にかける。もちろんダッヂオーブンの閉めた蓋の上には熾きを乗せ、上から下から熱くする。オーブンの方はここまでだ。後の調理は焚き火任せで放っておく。




  さあ、いよいよ乾杯だ。
と、その時北東の方からサーッという音とともに風がやってきたと思ったら、ザーッという音に変わった。雨だ。準備の間に何度かこの雨にやられているので皆も慣れたもの。ビールやワインを片手にサッと樹下に避難した。雨はすぐ止み、気を取り直してカンパ~イ。


  女将の手料理は野菜スティックから始まってガーリックトースト、カルボナーラと続く。このカルボナーラが美味いんだなぁ。そしてこのガーリックトースト。ムシャムシャッとやってビールでごくりと飲み下す。ムシャムシャごくり。ムシャムシャのごくりだ。
 あっ、また風が。ザザー。慌ててガーリックトーストを抱え、上から覆いかぶさるように着ているコートで傘を作った。トーストがふにゃふにゃじゃ情けない。


  ジュジュッ、ジュー。オーブンから音がする。ベビーバックリブから落ちた油がジャガイモを揚げる音だ。うーむ、開けてみたい。でも、はじめチョロチョロ中ぱっぱ、赤子泣いてもフタ取るな・・・ちょっと違うが我慢、がまん。その代わりといっては何だが、カシラが15分ほど前に、タマネギを皮も剥かずに丸ごとアルミホイルで包み、オーブンの下の太い火の端に突っ込んでおいた物を拾い出した。
カシラお勧め、タマネギの丸焼きだ。アルミホイルを破り開き、周りの焦げた茶皮を剥くとツルンと真っ白な身というか皮というか。アツアツのところを千切って口に運ぶと、お~、こっ、これは・・・甘い!美味い!こんな簡単な料理なのに、なんという美味さ。


  さてそろそろ出来たかな。メインディッシュのオーブンの中身。慎重にダッヂオーブンを火から降ろし、フタを開けると、なんといい香り。早速つまんでかぶりついたのはベビーバックリブ。ニンニクと岩塩がいい頃合に焼けた肉を引き立てている。
そしてオーブンの底で揚がっているジャガイモ。これはニンニクと岩塩だけでなく、ジューシーな肉汁もたっぷりと吸っているので、味力(みりょく)は肉に引けをとらない。いや~、もうおなかいっぱい。今日の焚き火は美味しかった~。


  最後に降った大粒の雨は、撤収後の焚き火を綺麗に消してくれた。悪天候の中強行した焚き火であったが、雨にも負けない火勢と笑顔が皆の心を満たしてくれた。やってよかったね。暖かかったよ。

(報告 ひょっとこ)

0 件のコメント:

コメントを投稿